函館短期大学発「食・健・幸」
食を学ぶことは健康を学ぶこと。健康はすべての人が願う幸せ。


  運動を続けるためには?
      「健康運動実習1」担当  坂手 誠治 専任講師
コラム No.12 
2008年2月 


 何か運動を始めることも大変なのに、「運動を続けるためには?」などというテーマはいかがなものかと、ご意見もあるかと思いますが、今回はこのテーマについて述べさせていただきます。


 平成16年国民健康・栄養調査報告によると、運動習慣のある人は、成人男性で約30%、成人女性で約25%と報告されています。ここでの運動習慣のある人とは「1回30分以上の運動を週2回以上、1年間以上継続している人」と定義されており、一定期間以上運動を継続している人の数とも言えると思います。この結果からも運動を続けることの難しさが窺われます。それでは、どうすれば運動を続けられるのでしょうか。ここでは私たちがある地域で実施していた、健康づくり教室の例から、運動を続けるための秘訣について紹介してみたいと思います。
グラフ1.運動習慣のある人の割合(20歳以上)

 私たちが実施していた健康づくり教室では、自分で運動の目標をたて、その実施状況を体重や歩数とともに毎日記録することとしていました。運動目標としては、自分が少し努力すれば達成できそうな目標を立てることとしており、例えば「毎日20分歩く」や「1日7000歩以上歩く」といった内容です。毎月、実施状況に応じて、私たちと相談しながら目標を見直し、約4ヶ月間続けてもらいました。
 この教室参加者の教室終了後の運動継続状況について調査した結果、参加者の60%が教室期間中に実施していた運動内容を1~2年後も継続していました。そこで、どのような要因が継続につながったのかについて、毎日の記録状況の違いに着目し詳しく検討したところ、記録をしっかりつけていた人たちの継続率が高かったことが分かりました。また、こうした人たちは、あまり記録ができていなかった人たちと比較して、教室期間中の平均歩数が多く、体重やウエスト値などが大きく低下していたことも分かりました。以上より、行動を記録することは運動習慣継続への意欲を向上させ、さらに日々の活動量の上昇につながり、結果として体重やウエスト値が改善した。そして、こうした効果が表れたことにより、更なる継続への意欲が高まったのでないかと考えています。

 次に“失敗から学ぶ”ではないのですが、教室終了後に運動を止めてしまった人の中止理由を尋ねてみました。中止した理由は様々でしたが、中止者の約10%が「膝を痛めたため」と回答していました。ウォーキングを実施する人が多かったのですが、これは明らかにがんばりすぎたためと考えられます。こうした怪我を避けることも運動を続けていくための大きな要素だと言えます。怪我を避けるためには、運動前後にストレッチ体操などを実施することも必要ですが、ウォーキングのような手軽な運動であっても、決して無理をしないことが大切だといえます。

 以上より、運動の継続には、少し努力すれば達成できそうな運動目標を設定し、毎日実施状況を記録すること。そして決して無理をしないこと。これらが運動継続のために大切な要素であると考えます。また、いつも歩きやすい服装(靴)を身につけることや、目につく範囲内に運動を意識するものを置いておく、例えば、玄関の一番目立つところにウォーキングシューズなどを置いておくといったことも運動を継続するための有効な方法と言われています。

 最後に私事ですが、私の運動方法を紹介して終わりたいと思います。毎日、学校へは車で通っています。授業などでは動き回ることも多いのですが、それ以外の時間は机に向かっていることが多く、運動不足にならないようにと自転車通勤なども試みました。
しかし「今日は荷物が多いから」とか、「今日は帰りが遅くなるから」などと言って続きませんでした。そんな時、学校の近くに香雪園というすばらしい公園があることを知り、朝、家から直接公園まで車で行き、20~30分間公園を散歩した後、出勤することにしました。夏には可愛らしいリス達に会え、秋には紅葉、そして冬は雪景色と四季それぞれに楽しみがあり、いつしかこの公園を歩くことが私の楽しみとなっていました。そういえば「ある店のコーヒーが大好きだから、毎週そこまで歩いて行って、その店のコーヒーを飲むことが私のひそかな楽しみだ」と話されていた方を思い出しました。こうした場所が皆さんの近くにもあるのではないですか? そこへ行くこと自体が楽しみになるような場所を見つけることも、運動を続けるための秘訣かもしれませんね。

秋の香雪園


冬の香雪園



  <参考文献・資料>
     ・「平成16年国民健康・栄養調査結果の概要」, 健康局総務課生活習慣病対策室(2004)
          http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/05/h0508-1a.html
     ・竹中晃二 編集 : 現代のエスプリNo463 身体活動・運動と行動変容, 至文堂(2006)
     ・竹中晃二 編集 : 身体行動の増強および運動継続のための行動変容マニュアル, ブックハウスHD(2005)


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