函館短期大学発「食・健・幸」
食を学ぶことは健康を学ぶこと。健康はすべての人が願う幸せ。


  日本料理とお茶
      「調理実習3」担当  畑井 朝子 教授
コラム No.1 
2006年4月 

 本学の「調理実習」は「調理実習1~3」で開講されている。「調理実習3」は日本料理、西洋料理及び中国料理の3分野からなり、献立実習をとおして調理の手法やその理論を食文化的観点から把握するようにしている。
 日本料理は日本の伝統文化の集約とみなしても過言ではなく、その原点は本膳料理及び懐石料理の一汁三菜にあり、それを基準に発展してきたものであろう。懐石料理とは茶事でふるまわれる料理であり、また日本の家庭料理は精進料理を基本に展開されてきたものであり、これら日本料理の根底には「茶」のこころが生きていることは明瞭である。
 以上のような観点から「調理実習3」の日本料理の分野では、学生同士で亭主と客の立場を交互にしながら和菓子のあとに抹茶を点てて、いただくようにしている。本年度は食物栄養学科2年次生の茶道部員2名にその指導をお願いした。以下に茶道部員2名と受講学生のコメントを挙げておく。


茶道部部長 (函館短期大学 2年次 女子学生)

 茶道部の部長ということで、調理実習の時間に同学年の学生にお抹茶の点て方や飲み方を教えることになってしまい、このようなことが自分にできるかどうかとても不安でした。和室のシーンとした雰囲気と仲間の前に立って経験したシーンとした雰囲気は全く違うものでした。でも無事に終了し、先生にとてもよかったとほめられました。
 教えたことにより、今まで感じたことのないお茶に対する深い思いを感じることができました。私にとっては非常によい経験となりました。お茶を点てて、飲んだ後の仲間達の落ち着いた雰囲気に接するたびに私は幸せを感じています。「お抹茶おいしかった」や「お茶っていいものだね」と言う学生が増えたことは、とても貴重で意味深いものだと思います。

  


茶道部員 (函館短期大学 2年次 女子学生)

 千利休によって大成された茶道は、代々受け継がれる中で、お茶のこころを大切にしながら長い歴史を刻んできました。
 お茶のこころは、おいしいお茶をもてなし、もてなされる道のことであると言ってもいいと思います。お茶は、亭主が心をつくして客に楽しいひとときを過ごしてもらおうとし、客は、亭主の厚意に感謝し、一生懸命に亭主のもてなしにこたえていくということにお茶のすべてがあると言われています。お茶のこころとは、そういう人と人との出会いという人生の上での深い意味を含むものです。お茶では、もてなし、もてなされる際のお互いの「まごころ」が一番大切だと教えられます。この出会いをつきつめていくと、一期一会の考えが生まれてきます。これは、この世の中でたた一度の出会いと考えて相手をもてなしなさいという教えでもあります。
 今日の急激に変化する社会の中では、相手を思いやる心や人と人との結びつきが希薄になりつつあります。日本の伝統文化である茶道を通して、時代を超えて大切なこころを学ぶ機会になりました。


受講学生 (函館短期大学 2年次 男子学生)

 調理実習での抹茶体験は凄く良い事だと思いました。私は京都で抹茶を飲んだことはありますが、自分で抹茶を点てたことはありませんでした。今回初めて抹茶を点ててみて、やはり上手くはできませんでしたが、無心に茶筌を動かしていると、心が落ち着く感じがしました。そして入れたお茶と季節のお菓子を味わうと、日本の歴史と風情も一緒に楽しむことができたと思います。
 食事の後の緑茶を抹茶に変えて心を静める。そんな気軽な気分でも楽しめる日本の味、それが抹茶だということがわかりました。

  


閉じる

野又学園 函館短期大学  〒042-0955 函館市高丘町52番1号
入試専用フリーダイヤル:0120-57-1820 FAX:0138-59-5549 E-mail:hj@hakodate-jc.ac.jp


Copyright © 2002-2015 Hakodate Junior College. No reproduction or republication without written permission.